著者紹介

綿引滔天先生

綿引滔天
(わたひき・とうてん)
1961生。小林斗盦に師事。大東文化大学文学部書道学科講師、埼玉大学教育学部講師、開智高等学校講師。日展委嘱、讀売書法会常任理事、謙慎書道会常任理事。



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はじめに

 古文字は、殷の甲骨文に始まり、殷周の金文、さらに春秋・戦国期の金文から秦の始皇帝による文字統一(小篆)まで千数百年の変遷を経ています。その間の様々な字体を一括して篆書と呼びます。


 甲骨文は亀甲(亀の甲羅)や獣骨(主に牛の肩甲骨)に刻まれた占卜(占い)の文字です。一方、金文の多くは祭祀用の器(鼎などの青銅器)の銘文で、春秋・戦国期になると、古璽・古陶・簡帛などの用途に応じて文字も多様化し、また国や地域によっても字風が変化して行きました。従って篆書を扱うには、各時代における字形の変遷と特徴、及び地域的・用途的な相違を把握しておかなければなりません。ですから、字書の活用にあたっては、先ず総合的な字典等で篆書の変遷を確認し、慣れてきたらそれぞれの字体の専著に進んで、文字についての理解を深めていくようにするのが好いでしょう。

亀の甲羅(腹側)

亀の甲羅(腹側)

牛の肩甲骨

牛の肩甲骨

鼎(毛公鼎)

鼎(毛公鼎)

古璽1〈陳訓〉

古璽1〈陳訓〉

古璽2〈異耳〉

古璽2〈異耳〉

木簡(部分)〈郭店楚簡〉

木簡(部分)
〈郭店楚簡〉


 この連載を始めるに当たって、最初に『総合篆書大字典』の執筆の際に参考とした各種の字書について紹介したいと思いますが、上述したような考えに従って、先ず総合的な字典、続いて特定の字体のみを対象とした字典を取り上げ、それぞれの特長や、利用する際の注意点などを紹介して行くつもりです。