會津八一と奈良[歌と書の世界]
あいづやいちとなら[うたとしょのせかい]
![會津八一と奈良[歌と書の世界]](..//images/book/558822_lrg.jpg)
奈良の風光と美術を酷愛し、高らかに歌いあげた會津八一は、また書においても独自の世界を築いた。その絶唱114首を八一自身の書跡で示し、世評高い入江泰吉の写真100点を添える。絶好の會津八一案内書であり、大和古寺巡礼の新たな好伴侶でもある。




春日野
かすがのにおしてるつきの/かすがののみくさをりしき/つのきると/こがくれて/
うらみわび/かすがのにふれるしらゆき/もりかげの/かすが野のしかふすくさの/
かすが野にあそぶ乙女子/猿沢の/かすがののよをさむみかも/しかなきてかかるさびしき/
しかなきてならはさびしと/しかになりたや
興福寺 猿沢池 奈良国立博物館 春日大社
はるきぬと/わぎもこが/はつなつの/あせたるを/かべにゐて/いかでわれ/
みかぐらの/春日野に下りゐる雲も
高畑 新薬師寺 高円山 滝坂
たびびとの/みほとけのうつらまなこに/ちかづきて/さちあれと/もえさかる/秋萩は/
あきあまた/まめがきを/かけ落ちて/たきさかの/夕されば/たき阪や/いはむろの
東大寺
おほらかに/あまたたび/ひんがしの/あまたらす/みほとけのうてなのはすの/
いちいちの/あめつちを/くにのむた/いくとせの/うちあふぐ/あまぎらす/そそりたつ/
毘楼博叉/みほとけのあまねきみての/毘沙門のおもきかかとに/なつきそと/
ひさしくもつかざるかねを/あきにけに/ひびきなく/ひさしくもつかざるかねは/
さをしかの/おほてらのほとけのかぎり/おほてらのにはのはたほこ/みづがめの/
とほつよの
奈良坂 浄瑠璃寺 木津川
ならざかの/やまでらの木のまにすめる/毘沙門のふりしころもの/やまでらの仏をみむと/
みわたせば
佐保・佐紀路――平常宮址 海龍王寺 法華寺 秋篠寺
はたなかの/かれくさに/しぐれのあめ/ふるてらの/ふぢはらの/たかむらに/
まばらなる/あきしのの
西ノ京――喜光寺 唐招提寺 薬師寺
ひとりきてかなしむてらの/かけ稲の/おほてらのまろきはしらの/せきばくと/
しぐれふる/くさにねて/すゐえんの/あらしふく/いにしへのうたのいしぶみ/
よりたてば
斑鳩――法隆寺 中宮寺 法輪寺
いかるがのさとのをとめは/うまやどのみこのまつりも/いかるがのさとびとこぞり/
うまやどのみこのみことは/みとらしの/やまとには/たちいでて/ちとせあまり/
ほほゑみて/ゆめどのは/あめつちに/あまたみし/うつしよの/いたづきの/
ひとりきてめぐるみだうの/おほてらのかべのふるゑに/うすれゆく/
みほとけのあごとひぢとに/観音の
当麻寺 観心寺 香具山 吉野
ふたがみの/さきだちて/かぐやまの/みよしののむだのかはべの/
みよしののやままつがえの/ふるみやの
奈良詠草
やまと路の/わさだかる/ならやまの/いにしへの奈良の宮人/あをによし/ならやまを
「西遊咏艸」について
「豆本」について
あとがき
索引
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