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「DVD大書源」で
集字作品の草稿を作る



筒井茂徳
〈図一〉楷書作例「虚己」

 一般に書の学習は古典の臨書が中心になる。その延長線上に自運の作品が生まれるが、途中の段階として古典から必要な字を集め、作品の形式に構成して草稿を作る「集字作品」がある。従来はトレイシングペイパーで敷き写したり、コピーを切り貼りするのが普通で、必要な字が必ずしも集まらず、しかも手間暇が掛かるといふ弱点があつた。

 さうした弱点が「DVD大書源」によつてかなりカヴァーされる。第一に、必要な字の多くが揃ふ。第二に、パソコン画面上の操作で作業が完了し、かつ修正が容易だからである。
 ここでは「虚己」(己を虚(むな)しうす。落款:葉子)扁額作品の草稿作りを例に挙げる(図一)〔注1〕。操作の説明にはウィンドウズ・マック共通に使へる「Word」を用ゐた〔注2〕

 先に手順を概括すると、
一、必要な字を検索
二、台紙の準備
三、選んだ字をコピー
四、貼り付けと配置
五、プリント
といふことになる。

必要な字を検索
 最初に索引冊の音訓索引で必要な字の頁数を書き出しておくとよい。この場合、「虚―二三五八、己―八五六、葉―二三〇四、子―六九一」。
 「DVD大書源」を開くと「DAISHOGEN」といふフォルダがあり、この中に「0001_0996」「0997_2004」「2005_3034」といふ三つのフォルダが含まれてゐる。












〔注1〕
この記事は「DVD大書源」試作版に拠つた。

〔注2〕
Word 2003 (Windows) また Word 2004 for Macを使つた。マックの場合、AppleWorksのドローを使へば、もつと簡単にできる。
 これらの数字は頁数を表してゐる。「虚」字は二三五八頁だから「2005_3034」フォルダ中の「2301_2400.pdf」のファイルをダブルクリックする。「AdobeReader」が入つてゐれば、これが起動してファイルが開く〔注3〕
二三五八頁

〔注3〕
Adobe Reader 7以降が好い。たとへば、それ以前のものでは、〔注4〕の設定ができない。新しいヴァージョンはAdobeのサイトから無償でダウンロードできる。

 「表示」メニューから「移動」→「ページ」を選んで「2358」と入力、「OK」ボタンを押すと同頁へ移動する。またウィンドウの上部か下部に頁が示されてゐて、左右の矢印で頁を移動できる。かうしてどの「虚」字を集字するか、候補をしぼつてゆく。また、「己」字や落款の字も同様にして頁を表示できる。

台紙の準備
 「DVD大書源」はこのままにしておいて、今度は「Word」を立ち上げ、集めた字を貼り込む台紙として新規のファイルを準備しておかう。
 台紙には作品のおほよその形を示す枠を附けておきたい。「Word」の「表示」メニュー→「ツールバー」→「図形描画」から「四角形」ツールを選ぶ。十字形に変化したポインタを画面の左上方に置いてクリックし、そのまま右下方にドラッグすると四角の枠ができる。なほ、枠を下に動かして、用紙の上方を少し空けておくこと。
〔注4〕
「編集」メニュー(マックは「Adobe Reader」メニュー)→「環境設定」→「一般」で、「スナップショットに固定解像度を使用」にチェックを入れ、解像度を「200ピクセル/インチ」くらゐに設定すること。印刷の際の品質が向上する。

選んだ字をコピー
 再び「DVD大書源」のウィンドウに戻る〔注4〕
 「虚」「己」各字の頁を検討した結果、欧陽通(おうやうとう)の字を集めることに決めた。落款の「葉」「子」両字は米ふつの行書を使ひたい。

 「虚」字は二三五八頁の第五行にある「泉男生墓誌」を使ふ。字を選択する準備として、「ツール」メニュー→「基本」(または「選択とズーム」)→「スナップショットツール」を選ぶ。するとマウスのポインタが十字の形になるので、このポインタで「虚」字のやや左上方をクリック、そのまま対角線方向右下にドラッグすると四角く囲まれ(図二)、同時にこの字の画像がコピーされる。
〈図二〉ドラッグして四角く囲む
貼り付けと配置
 台紙として準備しておいた「Word」のファイルに移動する。「編集」メニューから「貼り付け」を選ぶと、画面上に「虚」字が現れる(図三)
 この「虚」字を自由に移動させ、大小が調節できるやうにしたい。「虚」字の画像の上で右クリックして「図の書式設定」を選び、次に「レイアウト」を押す。「折り返しの種類と配置」で「前面」を選択して「OK」ボタンを押すと、画像の周囲に八つの小さな○(または□)が現れる。
 これで画像を好きな場所に動かせるようになつた。適当な大きさに縮小拡大するには、四隅の○(□)を対角線の方向にドラッグする。
 同様にして「己」字を集め、さらに「葉」「子」も収めて適当な大きさに縮小拡大し、扁額らしく並べる。また、「四角形」ツールをクリックして「子」字の下で右下に小さくドラッグすると、落款印になる(図一/冒頭参照)

〈図三〉画面上に「虚」字が現れる

微調整してプリントへ
 最後に全体を眺め、各字の大きさや位置を微調整すれば楷書集字作品の作例ができたことになる。全く同様の手順で草書(智永の真草千字文から集字)と篆書(とう石如から集字)の作例も作つた(図四)。プリントアウトすれば作品制作の草稿として利用できる。
  *  *  *
 「DVD大書源」の出現によつて、パソコンがそれなりに使へる人なら誰でも古典を利用して作品制作の草稿が作れるやうになつた。
 書の古典の字がそのまま作品制作に使へるやうになつた意義はきはめて大きい。文字を入れ替へたり、大小を按排したり、字間行間を調整したりすることも容易であり、さうした工夫自体が楽しい。個人としての使用はもちろん、高校の藝術科書道や大学の作品制作の授業でも大いに利用できるに違ひない。文字を扱ふデザイナーにも色々と役立つ点があらう。(つつゐ・しげのり/書法家)
〈図四〉草書作例

〈同〉篆書作例



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